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カテゴリー:人形ねぷたの技と力
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第16回 「おわりに」―守りそして受け継ぎたい―
人形ねぷたの技法と魅力を伝えるために、ペンを執ったこの連載も今回が 最終回となる。 最後に私が述べたいと思うのは、ねぷた祭りの文化を引き継ぐ次世代の 子どもたちや若者たちのことだ。
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第15回 「解体」―また来年作るための最初の作業―
最近は、津軽にも残暑なるものが存在するが、私が子どものころには、ねぷた祭りが終わると、大人たちが口をそろえて「もう秋だなぁ。」なんて言いながら、解体の作業をしていた。
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第14回 「魅力」―現代社会における意義―
人形ねぷた制作の「手間」、言い換えれば「作業量」は、扇ねぷたに 比べれば、数十倍から百倍近く人形ねぷたの方が多い。 私は他の団体の関係者に「よくもあんなに手間がかかるものを毎年作るね。」 とよく言われる。けれども私はそうは思わない。
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第13回 「費用」―実はそんなに高くない―
今回は、人形ねぷた制作にかかる費用について解説していこうと思う。人形ねぷたの材料は、毎年買い揃えなければならないもの(針金、和紙、墨、ロウ、染料など)と、何年間か使い回しができるもの(木材、電球、ソケットなど)がある。順に説明していこう。
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第12回 「色付け」―意外にも皆でできる作業―
人形ねぷた制作の最後の作業となるのが、「色付け」の作業である。 ねぷたに用いる色の材料は、主に染料と顔料であったが、最近では、ポスター カラーなども用いられるようになった。
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第11回 「蝋引き」―独自の技とその精神性―
墨入れが終わり、人形ねぷたの輪郭が次第に見えてくると、次に行うのが、 蝋引きの作業だ。蝋を熱して溶かし、和紙に引いていくのだけれども、 それに適した温度は、おおよそ130度ほどとかなり高温で危険が伴う。
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第10回 「墨入れ」―感謝、そしてまた感謝―
紙が貼り終えられた人形ねぷたに、最初に入れるのが墨だ。 次が蝋で、最後に色を入れる。この墨入れで人形ねぷたの優劣が決まる とも言われるほど、重要な作業である。
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第9回 「台座部分の絵の制作」―皆でできる作業―
人形ねぷたの台座は、上から順に、高欄、蛇腹、板隠し、開き、額という 名称で呼ばれる5つの部分から構成されている。 この台座は、建物を模しているといわれるけれども、それがよくわかるのが 高欄という部分だ。
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第8回 「紙貼り」―人形ねぷたを象徴する作業―
「紙貼り」は、組み上がった骨組みに一枚ずつ厚手の和紙を貼ってゆく 作業である。昔は、奉書紙をでんぷん糊で貼り付けていたけれども、 今では、木工用のボンドで化学繊維入りの和紙を貼り付けている。
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第7回 「照明の設置」―発光体であるが故に―
今回は、組み上がった骨組の内部に設置する照明について述べようと思う。 内部の照明には、主に電球が、一部には蛍光灯も用いられる。これらが普及する以前は、もちろんロウソクが用いられた。
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第6回 「骨組みその3」―流線の美しさ―
今回は、まず、人形ねぷたの骨組みに用いる針金の小技を紹介しようと思う。 前にも話したけれど、針金は、一般的に六十cmほどのコイル状に巻かれた状態で売られている。
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第5回 「骨組みその2」―デフォルメ―
前回、ゆがみやねじれを生じさせずに、針金を変形させるという技術が、骨組みを組む人間には必要だと述べたけれども、その技術だけでは、人形ねぷたを組むことはできない。次に必要となるのは、意図的にゆがみやねじれを生じさせる技術だ。
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第4回 「骨組み」―線から立体へ―
今回は、骨組みについて解説していこうと思う。骨組みとは、人形ねぷた制作の、一番最初の作業で、針金や竹を用いて人形の骨格を組み立てる作業のことだ。
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第3回 「題材と場面の設定」―何が伝統か―
今回から、実際の人形ねぷたの作業の手順に沿って話を進めていこうと思う。 まずは、制作に入る前の構想段階の題材と場面の設定について述べよう。 現在の人形ねぷたで作られる題材は、中国や日本の戦国武将が、台数の上では 圧倒的に多い。
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第2回 「人形と扇」―伝統の勘違い―
「弘前ねぷた祭りの伝統は扇ねぷたである。○か×か?」 私はよくこんな質問をする。するとほとんどの人が○と答える。 問題が少し意地悪いのだが、正解は×なのだ。 なぜ間違っているのかといえば、扇ねぷただけが伝統ではないからだ。
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第1回 ―「作る」ということ―
もう聞きなれてしまった「異常気象」のせいか、例年よりも雪少ない今年の冬 ではあるが、それでも春の足音はまだ遠く、ねぷた祭りはまだまだ先のことの ように思えるこの季節。 けれども、私の心はすでに夏の夜へ思いを馳せている。