人形ねぷたの台座は、上から順に、高欄、蛇腹、板隠し、開き、額という
名称で呼ばれる5つの部分から構成されている。
この台座は、建物を模しているといわれるけれども、それがよくわかるのが
高欄という部分だ。
この部分の中央には窓のようなものが見られ、その周りが赤と緑と黄で
塗り分けられる。この赤い部分は朱塗りされた木材で、緑は錆びた金具、
黄色はそれを止めた錨を表現したものだと言われている。
他の部分も大体の様式があるけれども、これがどのように定まってきたかは
わからない。江戸時代からの様々な試行錯誤の末、現代の様式があるのだろう。
ところで、この台座部分の絵の枚数はどれくらいだと思われるだろうか。
人形ねぷたのサイズによって異なるが、少なくとも250枚はある。
これを、一枚ずつ紙を切り、蝋を引き、色を付けて、でんぷん糊で木枠に
貼り付けるのだから、なかなかの作業量である。
おそらく先週述べた紙貼りに次ぐ作業量であろう。
そして、この作業も、蝋引き以外は、やり方さえ覚えれば、誰でもできる。
紙貼りと同様に、皆でできる作業なのだ。
「でも、色付けはちょっと難しいのでは」と思う人も多いだろう。
実は色付けが一番簡単なのである。これは意外な人形ねぷたの特徴なのだが、
このことの詳細は少し後の回に譲ろうと思う。
さて、人形ねぷたには、台座部分と同様に平面的な絵で構成される部分が
もう一つある。それは「見送り」と呼ばれるねぷた後方の凸型の部分である。
この部分には、中央に一枚その左右に二枚の絵が貼られ、これらを「見送り絵」
と呼ぶ。この絵を描くのは、残念ながら誰でもというわけには行かない。
中央の一枚には、ほぼ等身大のサイズの立ち姿の人物画が一般的に描かれる。
そのサイズで人物を描くには、やはりそれなりの経験が必要であり、
人形ねぷた制作の中の、平面的な絵を描く作業では最上位に位置する。
それは、台座部分の色付けをする子どもたちにとって、憧れの存在でもある。
次回は、墨入れについて述べてゆく。