先日、中国・台湾にご当地の人形灯籠である「花燈」を調査しに行ってきました。
調査レポートは、「中国・台湾「花燈」の旅」として1~7までHPにUPしてあります。
ちなみに、「花燈」はアルファベット表記で「Hua Deng」と書き、
発音は、無理に日本語表記すると「ホァドゥン」です。
(「ドゥ」は舌を上の前歯の裏に当てて発音(‘_’)ちょっと難しいです。)
調査に行った際、台湾人の中日通訳ガイドをお願いしました。
とても通訳能力の高い方で助かりました!(^^)!
しかし、当然ながら美術の専門の方では無いので、
その辺を少しづつレクチャーしながら通訳をしてもらいました。
そこでしたお話を紹介したいと思います。
日本人の美意識にはいろいろなものがあるんだよという話です。
まずは、「雅―みやび」です。
語源は「宮ぶ」であり、上品で優雅な、知的で都会的で洗練された情趣の美しさを表す。
と伝えたところ、(?_?)とこんな顔してました。
そこで、仕方なく、ホントはこんな伝え方まずいんでしょうけど、
母国語が異なる人に、言葉で表現しにくい「美意識」を伝えるわけで、、、
「イメージとしては、京都の美しさ。祭で言えば祗園祭。」と伝えたら納得してもらえました。
続いて、「粋―いき」です。
語源は心意気とか用いる「意気」ですね。
あか抜けしていて、自然な色気が感じられる様子というのが辞書にのってます。
これも全く通訳ガイドには伝わりません。
なので、仕方なく「江戸に代表されるような美意識。祭で言えば三社祭。」でわかってもらえました。
やっぱり、祭は美意識というようなわかりにくいニュアンスやらイメージやらを伝えるには便利かもしれません。
しかしながら、これはあくまでも表象的なものであり、内側で祭を運営している側からすれば、
一つの言葉で表されるものではないことは当然のことですが。
でもあえて、逆に言えば、こういう表象的なイメージが、
観光資源として考えれば外部の人に伝えやすく、重要なものであるのも事実でしょう。
そんな説明をしていたら、通訳さんからこんな質問が、
「では、ねぷたまつりの美意識は?」
僕の僕なりの答えは「歌舞伎―傾きーかぶき」
前にも説明しましたが、歌舞伎の語源は、「かたむき」と書いて「かぶき」です。
「かぶきものー傾奇者」の「かぶき」です。
安定的に保守的に昔からの様式を継承するのではなく、革新的な要素を取り入れていこうとする精神性、つまり美意識です。
ねぷたは、歴史をちゃんと調べれば、革新の連続であったことがよくわかります。
(ねぷたの歴史は研究が進んでいて、本も出ています。)
江戸時代の様式は、組ねぷたで縁起物だったものが、今や扇ねぷたで勇ましさとなっていることからもよくわかります。
資料に残る最古の様式は、角灯籠やたいまつのような様式でした。
他の地域の祭からすれば、革新的要素を取り入れる割合が明らかに多いと感じます。
他の団体と違うオリジナリティの高い要素を取り入れる個性あふれる創造性が、
(現代の弘前ねぷたまつりで言えば、前灯籠がいい例かもしれません。)
ねぷたまつりのエネルギー源ではないかと思います。
弘前ねぷたまつりが再び立ち上がろうとする今年、
革新を取り込む勇気が必要ではないかと、我が団体は感じています。