2014年8月6日の追想録

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弘前経済新聞にて記事にして頂きましたが、

昨年の8月6日に我々のねぷた団体は、ねぷたを小屋から出しました。

賛否の声に配慮し、これまで自らのHPに記録を残さないできました。

 

新しい今年の弘前ねぷたまつりを迎えるにあたり、

その経緯と詳細をここで追想しておきたいと思います。

 

前日、混乱の中、ねぷた小屋に帰り着き、その日は誰も何も考えられずに過ぎていきました。

8月6日は早朝から、ねぷた小屋には人が集まりはじめました。

改めて状況を整理して、おそらく、今日のねぷた運行は中止となるであろう。と皆で推察していました。

 

この時、その場にいたメンバーの脳裏に湧き上がる思い。

「何かできないのか?」「できることは何も無いのか?」

確かなエネルギーによって湧出してくる思い。

しかし、この時点では、その意図も目的も動機も整理がついていませんでした。

 

「何ができるのか」を考えていました。

しかし、「何のために」が、心中に引っかかって出てこない。

「何かできないのか?」という思いを支えるエネルギー源が、心中のどこにあるのかが見えてこない。

でも、心の中でモヤモヤと霧の中に隠れているが、源は存在している。

 

皆で議論を進めていました

そして、合同運行の中止が発表されたその時、

その源を捕捉しました。

「観光客の方々は、どうするんだ?」

我々のねぷた小屋は、弘前駅に一番近い。

「観光客の方々のために、できることがある。」

心中の霧は晴れました。

「運行ではなく、展示ができないものか?」

 

それは、浅草ねぷたで得られた経験値でした。

浅草では、運行以外の時間は、ねぷたの展示をし、お客様にねぷたの解説をしています。

 

みんなの意思が、その方向が、ひとつに定まりました。

そして、関係者の方々の迅速な対応のおかげで、主催者の許可、警察署の許可、弘前駅の許可を頂くことができました。

短い時間で各自が考え、移動コースの確認、展示場所の確認、人員配置の確認などを整え、ねぷた小屋を出発しました。

 

お囃子を演奏せずに移動したにも関わらず、駅前五差路のあたりで、観光客の方々が、続々とねぷたに集まってきました。

各自で、「これから駅前広場に展示しますので、そちらへどうぞ」と誘導し、無事、展示場所に到着。

 

あいにく降り出した雨の中、観光客の方々の記念写真に応じているうちに、

自然と自分たちが着ていたハンテンを貸出し、一緒に写真を撮影しました。

「ありがとう」

「いい記念になったよ。」

 

そんな嬉しいお言葉を頂き、帰路に着きました。

 

ねぷた小屋のそばで格納準備をしていたら、

日本語と英語で話す観光客の方々がいらっしゃいました。

「写真を撮ってもいいですか?」

「もちろん。」

「あら、カメラをホテルに忘れてる。」

「大丈夫ですよ。待ってます。」

お1人がホテルへ。

「どちらから?」

「ハワイから来たの。」

雨の中、ねぷたの格納が遅れることを、誰ひとり気にもかけませんでした。

無事、カメラがきて、撮影完了。

「本当にありがとう。」

 

心があったかくなり、嬉しくなりました。

 

無事、展示を終え、格納を終え、一堂に集まって、あちらこちらから聞こえる言葉。

「観光客の方にありがとうって言われたの初めてだ。」

 

合同運行の、車道と歩道で隔てられた、まつり参加者と観光客が接したところに、

「ありがとう」がありました。

 

 

ねぷた展示から生まれた人と人の接点。

そこに生まれた「ありがとう」という言葉

これは、新しい弘前ねぷたまつりを開く一つのカギとなり得るかもしれない。

そう思い、ここに追想録を残します。

 

 

 

 

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中川俊一 執筆コラム

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