今回は、浅草で運行されている人形ねぷたが
どのように設計され制作されているかをご説明しましょう。
まずは、浅草というまちの条件を整理しましょう。
4年半前、浅草でねぷた運行をするという際に、
実際にコースを何度も歩いて障害物の高さや幅を計測しました。
高さが最も低い障害物は4000㎜、幅が狭いところは3000㎜ほどでした。
このサイズで、普通に人形ねぷたを制作すると非常に小さなねぷたになってしまいます。
そして、もう一つ厳しい条件が、運搬トラックの荷台サイズでした。
高さと幅ともに2300㎜ほどしかないんです”(-“”-)”
そこで、ねぷたの人形部分を分割できるように制作をしています。
台座と人形でまず分割、人形を3~4つに分割しています。
加えて、その分割部分のいくつかに、運行中にも可動できるような「からくり」を仕込んでいます。
どうして「からくり」と表現するかというと、駆動の動力に機械を用いていないからです。
なぜ、人力の「からくり」を用いるのか?
それは、我々の団体の初代からの教えです。
僕が子どもの時に、こんな質問をした覚えがあります。
「どうして、うちのねぷたはよそみたいに動いたりしないの?」
その答えは、二つありました。
一つ目は、機械は命令すればその通り動いてくれるが、融通がきかない。
人が動かしていれば、どこかで不具合が生じた時、誰かが気づいて動きを止められる。
ましてや、そこに人の手がたくさんかかっていれば、
その人数分優秀なセンサーが付いているようなもの。
だから、安全だ。ハイテクは不要。ローテクを積み重ねれば同じことはできる。
二つ目は、ねぷたの隊列全体で見た時の美しさをどうとらえるか。
運行の際にお客さんが見ているのは、ねぷた本体だけではない。
隊列に関わる人員の動きだってみている。
そう考えれば、さしまたで電線を上げる。人力でからくりを動かす。
そんなローテクを駆使している人員の一所懸命な「汗」。
それがねぷたの醍醐味だ。
そう教わりました。
その教えは、三代目の我々にとって、いまや宝の言葉です。
この教えはどんな現場でも通用します。
我々は、弘前でも浅草でもさしまたを5本以上(つまり5人以上)ねぷた運行に起用しています。
ローテクな人力の「からくり」と、それを駆動するさしまたの努力によって、
現在の浅草ねぷたの高さは、4700㎜まで可変できるように制作されているのです!(^^)!
次回はうちの団体の花形「さしまた」の秘密を大公開しましょう!(^^)!