(龍が中国上海、ピエロが台湾台北)
彩色
花燈は、どんな風に色を塗ってると思いますか?
実は、あんまり塗ってないんです。
あらかじめ着色された布をはっていくんです。
洋服の部分とかもあらかじめ模様が入った布を貼ります。
だから、色付けは、グラデーションの部分とかだけです。
でもって、ロウも必要ありません。色止めする必要なし、他のロウの効果もあまり必要ありませんから。
(ロウの効果はコチラを参照)
http://hissatsu.neputanin.com/%e3%81%ad%e3%81%b7%e3%81%9f%e3%81%ab%e3%83%ad%e3%82%a6%e3%82%92%e3%81%84%e3%82%8c%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%af%e3%81%aa%e3%82%93%e3%81%a7%e3%81%a7%e3%81%97%e3%82%87%e3%81%86_
墨は?
墨はごく一部に入っていますが、ほとんど入っていません。
中国・台湾の花燈を作る方々に聞いてみたんですが、
「どうして、せっかく光るものを作ってるのに、それに黒を入れる必要があるの?」
と言われました。
考え方というか方針が違うんですね。
実は、この辺にですね、ねぷたと花燈の最も大きな違いがあるんです。
それは、デフォルメ(誇張表現)と強調表現の有無です。
ねぷたって、デフォルメを多用するんです。
高いとこに存在する人体の顔とか大きく作ります。(遠近感の補整)
手前に突き出す手とか大きく作ったりします。(遠近感の強調)
結構無理な姿勢で作ったりします。(筋肉の緊張感の演出)
服とか髪とか大きく長くたなびかせます(躍動感の演出)
凹凸(凹凸)や起伏をオーバーに作ります(発光体特性の補整)
そのように考えれば、「墨を入れる」のも強調表現なんですよ。
だって、リアルな人体にあんな太い黒の線なんか入ってないですから。
発光体の起伏を見やすくわかりやすくするのが、墨の役目ですから。
(墨の効果はコチラを参照)
http://hissatsu.neputanin.com/%e5%a2%a8%e3%82%92%e5%85%a5%e3%82%8c%e3%82%8b%e8%ac%8e%ef%bc%9f
では、花燈はどうか?
制作の方針が、「写実的」なんです。「リアル」なんです。
誇張や強調表現を用いることよりも、より形に忠実にリアルに作るというのが方針なんです。
ねぷた中心で考えると、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、
誇張・強調表現を用いないという選択もアリだと思います。
おそらく、中国・台湾の人からすれば、
「ねぷたって、誇張・強調表現使い過ぎ!(^^)!」って思うのかも。
「美しさ」は、やはり国が違えば、少し違うんだなと実感しました。
本稿は、日本学術振興会科学研究費助成事業である「日本および東アジアの人形燈籠(lantern)制作技法の比較分析」(研究課題番号25770055)の研究成果の一環を報告したものである。