中国・台湾「花燈」の旅5―彩色

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(龍が中国上海、ピエロが台湾台北)

彩色

花燈は、どんな風に色を塗ってると思いますか?

実は、あんまり塗ってないんです。

あらかじめ着色された布をはっていくんです。

洋服の部分とかもあらかじめ模様が入った布を貼ります。

 

だから、色付けは、グラデーションの部分とかだけです。

でもって、ロウも必要ありません。色止めする必要なし、他のロウの効果もあまり必要ありませんから。

(ロウの効果はコチラを参照)

http://hissatsu.neputanin.com/%e3%81%ad%e3%81%b7%e3%81%9f%e3%81%ab%e3%83%ad%e3%82%a6%e3%82%92%e3%81%84%e3%82%8c%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%af%e3%81%aa%e3%82%93%e3%81%a7%e3%81%a7%e3%81%97%e3%82%87%e3%81%86_

墨は?

墨はごく一部に入っていますが、ほとんど入っていません。

中国・台湾の花燈を作る方々に聞いてみたんですが、

「どうして、せっかく光るものを作ってるのに、それに黒を入れる必要があるの?」

と言われました。

 

考え方というか方針が違うんですね。

実は、この辺にですね、ねぷたと花燈の最も大きな違いがあるんです。

 

それは、デフォルメ(誇張表現)と強調表現の有無です。

ねぷたって、デフォルメを多用するんです。

高いとこに存在する人体の顔とか大きく作ります。(遠近感の補整)

手前に突き出す手とか大きく作ったりします。(遠近感の強調)

結構無理な姿勢で作ったりします。(筋肉の緊張感の演出)

服とか髪とか大きく長くたなびかせます(躍動感の演出)

凹凸(凹凸)や起伏をオーバーに作ります(発光体特性の補整)

 

そのように考えれば、「墨を入れる」のも強調表現なんですよ。

だって、リアルな人体にあんな太い黒の線なんか入ってないですから。

発光体の起伏を見やすくわかりやすくするのが、墨の役目ですから。

(墨の効果はコチラを参照)

http://hissatsu.neputanin.com/%e5%a2%a8%e3%82%92%e5%85%a5%e3%82%8c%e3%82%8b%e8%ac%8e%ef%bc%9f

では、花燈はどうか?

制作の方針が、「写実的」なんです。「リアル」なんです。

誇張や強調表現を用いることよりも、より形に忠実にリアルに作るというのが方針なんです。

ねぷた中心で考えると、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、

誇張・強調表現を用いないという選択もアリだと思います。

 

おそらく、中国・台湾の人からすれば、

「ねぷたって、誇張・強調表現使い過ぎ!(^^)!」って思うのかも。

 

「美しさ」は、やはり国が違えば、少し違うんだなと実感しました。

 

 

 

本稿は、日本学術振興会科学研究費助成事業である「日本および東アジアの人形燈籠(lantern)制作技法の比較分析」(研究課題番号25770055)の研究成果の一環を報告したものである。

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中川俊一 執筆コラム

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