「ねぷたーその豊かさとは何か」最終回

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文化の継承に向けた現在のステップーその2

③伝統と革新のバランス

ここでいう伝統・革新とは、灯籠はもちろん祭り全体を、芸術的な表現として鑑みてみることを想定している。

伝統的とされている表現を保守的に守り続けることはもちろん大切である。

しかし、それと同じくらい、様々に革新的な挑戦を試みることも必要ではないだろうか。

むしろ、伝統と革新がせめぎあい、革新的試みが少しずつ伝統の様式に組み込まれていくのが健全な形ではないだろうか。

様々な芸術の分野で、「モダン」と呼ばれる革新的領域を、(当然好みは分かれるだろうが、)有している。

伝統と革新のバランスを崩さないためにも、歴史を、つまりこれまでの変遷を知る必要があると思う。

④広域連携

ねふたは津軽地方の全域で、市町村ごとに祭りが実施されている。皆さんご承知の通り、市町村ごとに様々な運営方法、灯籠様式が存在する。

つまり津軽の中で行われているねふた祭りは実に多様性が高い。

この同一地域内における多様性の高さを利点として捉えることはできないだろうか。

市町村ごとのねふた祭り同士に、お互いに良いライバル関係をつくるためには、より広域での情報の共有が必要であると考える。

もちろん今日までに各地で設立されているねふた祭りに参加する団体の結束を図る「協議会」という組織が担ってきた役割は重要であり、貴重な財産である。

然る後に次の段階を考えれば、より広域な連携、つまり津軽地方全域で情報の共有ができる体制の構築が望まれると考える。

つまり、隣の成功は真似したっていいし、失敗は繰り返すべきではないと思うのだ。

私は、この原稿を書きながら、こんな「将来」を想像してみた。

津軽全域での「ねふた」の広域連携が成され、その一つの取組として、ねふた津軽代表チームを編成し、県外・国外の文化交流の場へ出向く。

最も近い将来で現実的な舞台は、日本の首都で開催が決まった、五つの輪の旗印のもと行われる世界的な祭典。その開会式のオブジェ制作。

少し青臭い話だろうか。

 

現代に生きる私たちが享受できるねふたの「豊かさ」、これを次の世代に受け継ぐことを考えると、厳しい表現だが、「ねふたはまだ成熟していない」と考える必要があると思う。

そして今できる次の段階への移行を次世代に先延ばしにしてはいけない。

では、今できることは何か。

それを、津軽が一丸となって考える必要がある。

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中川俊一 執筆コラム

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