第5回 「骨組みその2」―デフォルメ―

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 前回、ゆがみやねじれを生じさせずに、針金を変形させるという技術が、骨組みを組む人間には必要だと述べたけれども、その技術だけでは、人形ねぷたを組むことはできない。次に必要となるのは、意図的にゆがみやねじれを生じさせる技術だ。この両方ができてはじめて、針金を自由自在に扱うことができるようになる。それでやっと人形ねぷたを組む人間として、スタートラインに立つことができるのだ。そして、骨を組む上で、最も重要なのが、「デフォルメ」の技術だ。

 人形ねぷたには、さまざまなデフォルメを施す必要がある。つまり、リアルに人体を制作すれば良いというわけではないのだ。一例を紹介しよう。人形ねぷたは、頭部がかなり大きく制作されているけれども、このデフォルメには、ちゃんと理由がある。人形ねぷたに、迫力を出すためには、顔の表情を目立たせなくてはならないのだけれど、通常の構図では、多くの場合、頭部は最も高いところに配置され、見る人からの距離が最も遠くなってしまう。そのため、普通のサイズで制作すると、顔がとても小さく見えてしまい、どうしても迫力に欠ける。だから、頭部を大きく制作するのである。このようなデフォルメの加減が、骨組みの作業で最も難しい技術であり、また、針金を組む人間の個性が出るところなのだ。

 さて、全てを述べたわけではないけれども、このような技術を駆使して、骨組は作られていく。多くの場合、その際に、詳細な設計図は用意されていないということを知っているだろうか。大体の構図などを示したイメージ画はあっても、寸法が詳細に記されているわけではない。では細かな寸法は、どうやって決めているのか。作る人によって違うだろうけれども、私の場合、実際に針金を組みながら、高さや横幅の制限も考えつつ、イメージを頭に浮かべ、これまでの経験からデフォルメの具合を加減し、その場で寸法を決めている。

 次回は、骨組みの具体的な技法の紹介と、その美しさについて述べよう。

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中川俊一 執筆コラム

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